弊社米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、移民を規制する政策によって起こり得る米国の景気減速、インフレ率の上昇、労働市場への影響についてお話します。
トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
今回は、米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、移民を規制する政策によって起こり得る米国の景気減速、インフレ上昇および労働市場への影響についてお話します。
このエピソードは2月26日 にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
このところ投資家は、予断を許さないトランプ大統領の関税政策に注目してきました。弊社のポッドキャストでは、これまで関税問題について様々な角度から検討してきました。しかし、新政権の移民政策は今以上の注目に値すると考えています。
移民には、米国に居住するために外国人が入国する以上の意味があります。それは、米国経済に大きな影響を与えると考えられる複雑なプロセスです。労働統計局によれば2024年6月現在、米国の労働力の19%を移民が占めており、これは3,200万人以上に相当します。1994年には、外国で生まれた人が労働力に占める割合はわずか10%前後でしたから、大幅に増加したことになります。移民は農業、建設業及び製造業等の業界で雇用される傾向がありますが、小売業、レストラン、ホテルおよび医療といった対面サービスでも雇用されています。
コロナ禍の後、移民の数は年間300万人前後に急増しました。実際のところ2022年から2024年までの期間は過去の2倍以上のペースで移民が増加しました。この急激な増加は、高インフレが続いた後、米国経済が「ソフトランディング」する助けになりました。移民は供給と需要の両面から米国経済を押し上げたのです。労働力の伸びが雇用の伸びを上回ったことが、賃金と物価の上昇圧力を緩和する一助となりました。
ところが、トランプ政権の政策担当者がこうしたルールを急速に変更しており、移民を巡るシナリオを反転させています。バイデン政権下で既に実施された措置の影響が時間差で表われ、既に2024年下期までに国境の人の流れは大幅に減速していました。報道によれば、新政権発足後、ここ数週間で移民の数はゼロ近くに減速していると見られます。
2025年の見通しで弊社は、移民を制限する政策は、予想される経済成長の減速とインフレ上昇の主因の1つであると述べました。移民は去年 昨年の270万人から今年の凡そ 約100万人、来年は50万人に減速すると弊社は予想しています。最近のデータは、移民が弊社予想より大幅に減速する可能性を示唆しています。
移民が総じて弊社予想と同じペースで減速した場合、2025年の人口増加率は0.4%前後になると見られます。これは、2024年の実績の半分に届かない水準です。移民の伸びの減速が労働力の指標に及ぼす影響は、時間の経過とともに表われるでしょう。ただし当面は、一時的な要因の影響の方が大きいため、月次ベースの雇用者数および失業率に表われる労働力の影響の一部は、表面に現れないでしょう。しかし、今後3ヵ月から6ヵ月で、移民の減速による影響は明確に表われるでしょう。
経済成長については、移民が今年は100万人に、来年は50万人に減少すると、今年のGDP成長率は0.5%ポイント前後押し下げられ、来年はさらに大きく押し下げられる可能性があります。そして、インフレには上昇圧力が加わります。その筆頭はサービス業で、賃金全般に対してもある程度の上昇圧力となるでしょう。移民の減速は、短期的に潜在GDP成長率を押し下げ、近年の2.5%から3.0%に対して、今年は2%に、来年は1%から1.5%になる可能性があります。
その一方で、失業率は小幅に低下する可能性があります。移民の規制によって労働参加率が高く、支出能力が低い家計の数が減少するからです。これは、労働市場の逼迫、賃金上昇率の小幅な加速、インフレ上昇圧力につながり得るものです。したがって、労働市場は二速に入ると弊社は見ています。雇用の伸び減速は、軟調と低迷を感じさせると見られます。しかし、低い失業率は、労働市場そのものは依然、タイトであることを示唆します。
以上のすべてを勘案すると、移民を制限する政策は金融政策の引き締めにつながる可能性があり、FRBは現在の引き締め的なスタンスをより長く維持するでしょう。これらはすべて、年内の利下げは1回のみで、さらなる利下げは来年、経済成長が緩やかになってからとの弊社の見方を支えています。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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