ファンダメンタルズの悪化によってクレジット市場のマクロ変動性に対する耐性が低下する中、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツは、クレジット投資家にポートフォリオの質を見直すよう提案しています。
トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ.
本日の話し手は、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツです。クレジット市場の足元における回復が一時的なものにとどまる可能性があり、これを機にクレジット・ポートフォリオの質を引き上げるべきと考える理由についてお話しします。
このエピソードは3月28日 にロンドンにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
市場が不安定なとき、心理的な要因による変動と、実質的な要因による本当の変動を区別し、それぞれの度合を解析することは常に難しい作業です。私の同僚で米国株式チーフ・ストラテジストのマイク・ウィルソンが今週皆様にお話した通り、米国株が売られ過ぎた可能性をいくつもの指標が示唆している現在、米国株式市場は足元で回復する可能性があると私たちは考えています。
しかし、クレジット市場に関しては、回復は一時的なものにとどまると考えています。経済成長および物価トレンドが好ましくない方向へ向かう可能性があるなど、クレジット市場の中期見通しを取り巻くファンダメンタルズが年初予想とは異なる道筋を辿っているからで、こうした中、クレジット投資家は市場の一時的な回復を機に、ポートフォリオの質を引き上げるべきと私たちは考えます。
少し前の2025年初頭、私たちは今より遥かに幅の広い経済シナリオを想定し、米国経済成長の2026年における本格的な減速を予想していました。どちらもクレジット市場にとって好ましい結果をもたらす見通しではありません。
しかしその一方、私たちはそうしたリスクが浮上するまでに幾らか時間がかかるとも考えていました。実際、2025年に入った頃の米国経済にはかなりの勢いがあり、こうした中、米国政府が政策を変更したとしても、その影響が本格化し、実体経済の行方を変えるまでには時間がかかると私たちは見ていたのです。
また、2025年初頭のクレジット市場には、魅力的な利回り、旺盛な需要、安定した財務指標など、追い風要因がいくつもありました。こうした追い風要因を踏まえ、私たちは今年初め、ほかの資産クラス市場のボラティリティが高まったとしても、クレジット市場のマクロ変動性に対する耐性はほとんど損なわれないと考えていました。
しかし現在、ファンダメンタルズの悪化を背景に、クレジット市場のマクロ変動性に対する耐性は損なわれていると私たちは確信するようになりました。米国政府による政策変更が、私たちの予想以上に大規模かつ急速に進められているからです。そしてそれが一因となり、私たちの経済成長率、インフレ率、政策金利それぞれに関する予想は、どれもクレジット市場にとって不利な方向へと転じ始めました。すなわち、私たちは現在、今年初頭より低い成長率、高いインフレ率、少ないFRBによる利下げ回数を予想するようになったのです。予想をこのように変更したのは、私たちだけではありません。例えば最近発表されたFOMC経済見通しの最新版を見ると、FRBもこれまでより成長率予想を引き下げ、インフレ率予想を引き上げたことが分かります。
一口で言えば、モルガン・スタンレーの経済予想は、私たちが考える困難なシナリオ、言い換えるなら、成長率が低下する一方でインフレ率が引き続き高い水準で推移する中、中央銀行が経済を支えるために利下げをためらうシナリオの実現可能性を高めているのです。
成長率の低下、インフレ率の上昇、中央銀行の政策による支援の乏しさを見込む困難なシナリオが実現するリスクが高まれば、クレジット市場の最近の小幅下落を機にエクスポージャーを増やす、いわゆる押し目買いに対する投資家の意欲は損なわれます。ヴィシー・ティルパター→ビシュワス・パトカールが率いる米国クレジット・ストラテジー・チームの考えでは、こうした困難な環境を踏まえると、現在の米国投資適格債のスプレッドは「適正」な水準にあるに過ぎず、また、今後のリスク拡大を踏まえると、米国高利回り債および米国ローンのスプレッドは現在ややワイドな水準にあり、年末までこの水準をキープする見通しです。
まとめるなら、クレジット投資家は現在、手元のドライパウダーをなるべく残すべく、押し目買いに走る衝動を堪えながら、ポートフォリオの質を高めることに注力すべきと考えます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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